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取組事例

リフォーム詐欺への対応

現地調査を通して支援を試みるも、カウンセリングの課題が

 

70代の女性。築40年の木造住宅に一人暮らしをしています。ある日、嫁いだ娘さんが帰省してみると、一通の請求書を発見しました。500万円とかなり高額です。内容は耐震工事のようなのですが、そのような工事がなされた気配はありません。不審に思った娘さんが家じゅう探してみると、おびただしい数の請求書や見積書、注文書などが出てきました。

総額を計算すると、1年間で軽く3,000万円を超えています。どうやら全額払い込まれてしまっているようです。住宅が新築できるほどの金額ですが、家じゅう見渡しても、それだけの金額をかけて工事がされたようには見受けられません。現在請求されている500万円についても、払い込むつもりでいるようで、説得しても聞き入れてくれません。
リフォーム詐欺ではないかと心配になった娘さんから、とにかく一度現場を見てくれないかと依頼がありました。

まず、見つかった請求書や見積書の類を送ってもらい、時系列で整理しました。
多くの見積書は詳しい項目がなく、「屋根工事1式」といった表記がなされていました。これは現場の検証作業において、困難を招きます。見積書と実際の施工個所の照合ができないためで、屋根まわりをすべて調べ、隠ぺい部分を含めて工事の形跡があるかどうかを確認しなければなりません。

準備を整えて現場調査に臨もうとした折り、娘さんから断りの電話が入りました。母親が現場調査を拒否しているというのです。母親は業者を信用しており、自分がリフォーム詐欺にあったのではないかとの疑いを認めようとしないというのです。

こうしたケースは実は少なくありません。
自分が詐欺被害にあったと認めたとたんに、自らに対する恥や自己嫌悪などの感情が襲ってくるからです。場合によっては家族からも非難を受け、孤立してしまうかもしれません。

今回のケースでは最終的な解決までに至りませんでしたが、そのための課題が明らかになりました。こうしたケースの対応では、被害者の心のケアを含めたシステムの構築が急務と考えています。

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